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2026/09/05

訪問歯科のデメリット7つ|メリットや利用前に確認したいポイントも解説

訪問歯科のデメリットは、すべての設備を持ち込めるわけではないため、治療内容が制限されることや、費用が加算されることなどが挙げられます。

一方で、訪問歯科には、通院が困難な方でも歯科治療や口腔ケアを継続しやすいというメリットがあります。 

本記事では、7つのデメリットを具体的に解説したうえで、それらを軽減するための確認ポイントやメリット、向いている方の特徴までを解説します。

訪問歯科とは?

訪問歯科とは、通院が困難な方のもとへ歯科医師や歯科衛生士が出向いて行う歯科診療です。

デメリットを正しく理解するためには、まず制度上の位置づけと、実際に受けられる診療内容を押さえておく必要があります。

通院が困難な方を対象とした歯科診療

訪問歯科は、歯科医師や歯科衛生士が患者さまの自宅や入所中の施設などを訪問し、歯科診療を提供します。

対象となるのは、疾病や障がいなどの理由により、歯科医院への通院が困難な方とされていて、単に「通院が面倒である」「歯科医院が遠い」といった理由は、原則として対象になりません。 

また、高齢者だけを対象としたものではなく、年齢にかかわらず、身体状況によって通院が難しい状態にあるかどうかで判断されます。

原則として医療保険が適用され、要介護認定を受けている方は、介護保険が適用されるケースもあります。

訪問歯科で受けられる主な治療

訪問歯科では、設備や患者さまの状態によって対応できる診療内容に制約があるものの、応急的な処置だけを行うわけではありません。

主な診療内容は次のとおりです。

  • 虫歯や歯周病の治療
  • 入れ歯の作製・修理・調整
  • 口腔ケア(口腔内の清掃や口腔衛生管理)
  • 歯石・歯垢の除去
  • 摂食・嚥下機能の評価や訓練への対応

日本歯科医師会も、訪問歯科診療では、口腔ケアや入れ歯の作製・修理、歯石・歯垢の清掃などを受けられると案内しています。

ただし、実施できる内容は患者さまの全身状態や訪問先の環境、歯科医院が持ち込める器材によって異なります。

訪問歯科の7つのデメリット

訪問歯科のデメリットは、「診療環境の制約」と「運用上の制約」の2つに大別できます。

歯科医院の設備をそのまま持ち出せないこと、そして訪問というスケジュールを伴う診療形態であることが、制約の背景にあります。

まずは7つのデメリットを一覧で確認してください。

デメリットポイント
治療内容に制限がある設備や患者の状態によって対応できない治療がある
検査設備が限られるCTなど歯科医院にある設備を使用できない場合がある
費用が加算される通常の治療費とは別に訪問診療に関する費用が発生する
利用できる人が限られる原則として通院困難な方が対象
訪問エリアに制限がある保険診療では距離などの要件がある
希望日時に受診できるとは限らない訪問スケジュールとの調整が必要
緊急対応が難しい場合がある外来のようにすぐ診療できないケースがある

1.歯科医院より治療内容が限られることがある

訪問歯科では、訪問先へ持ち込める器材に物理的な限界があり、大型の機器を必要とする処置や、長時間にわたる複雑な治療については対応が難しい場合があります。

また、診療は自宅のベッドや車いすの上などで行われるため、姿勢の保持や照明の確保といった環境面の制約も加わります。

心疾患や糖尿病などの持病がある場合は、全身状態への配慮から処置の範囲を調整することもあります。

2.使用できる検査・医療設備に限りがある

診断に用いる設備の制約も、訪問歯科の特徴で、歯科用CTのような据え置き型の機器は持ち運べません。

骨の状態を立体的に確認するなど、精密な検査が必要なケースでは、訪問先だけでは十分な検査を行えない場合があります。

一方、ポータブルレントゲンやポータブルユニットを導入している歯科医院であれば、訪問先でも一定の検査や処置が可能です。

3.通院より費用がかかる場合がある

訪問歯科も、外来と同様に原則として医療保険が適用されます。

ただし、通常の処置に対する費用とは別に、歯科訪問診療料などが設定されています。

同じ治療内容であっても、外来より自己負担額が高くなる場合がある点は押さえておきましょう。

また、要介護認定を受けている方が継続的な管理・指導を受ける場合には、介護保険が適用されるケースもあります。

4.誰でも利用できるわけではない

訪問歯科の対象は、原則として通院が困難な方に限られます。

通院による歯科治療が困難ではない場合は、訪問歯科診療の対象にはなりません。

判断の基準となるのは年齢ではなく、身体の状態です。

高齢であっても通院が可能であれば対象外となり、若年層であっても障がいや疾病によって通院が難しければ対象となり得ます。

対象になるかどうか迷った際には、歯科医院やケアマネジャーへ相談してください。

5.訪問できるエリアに制限がある

保険診療として訪問できる範囲には、距離の要件が設けられています。

保険診療では、原則として歯科医院の所在地と訪問先の所在地との距離が16km以内であることが基準となります。

ただし、近隣に対応できる歯科医療機関がないなど、特殊な事情がある場合には、16kmを超えても認められるケースがあります。

距離だけで一律に判断できるものではないため、対象地域かどうかはまず歯科医院へ確認してください。

6.希望する日時に診てもらえない場合がある

多くの歯科医院では、外来診療と訪問診療を並行して運営しています。

そのため訪問の日時は、外来の診療時間や訪問ルートを踏まえて設定されます。

同じ日に複数の患者さまを訪問する場合は、希望する時間帯に対応できないこともあります。

加えて、家族の立ち会いが必要なケースや、施設側のスケジュールとの調整が必要なケースもあります。

定期的な訪問を希望する場合は、早めに相談し、無理のない曜日・時間帯をあらかじめすり合わせておくとよいでしょう。

7.緊急時にすぐ対応できないことがある

急な痛みや詰め物の脱落が生じても、訪問歯科では即日の対応が難しい場合があります。

訪問診療はスケジュールを組んで実施するため、外来のように当日受診で対応するという運用にはなじみにくいためです。

腫れや出血を伴う症状、外傷など緊急性が高いケースでは、歯科医院や病院への受診が必要になることもあります。

利用を開始する前に、急変時の連絡先や対応方針を確認しておきましょう。

関連記事:訪問歯科で気をつけること|依頼前の5つの確認と失敗しない医院の選び方

訪問歯科のデメリットを減らすために確認したい4つのポイント

ここまで挙げたデメリットの多くは、事前の確認と情報共有によって軽減できます。

訪問歯科は歯科医院ごとに体制が異なるため、利用前に以下のポイントを確認しておくことが大切です。

  • 対応できる治療内容
  • 費用の目安
  • 訪問エリアと診療日時
  • ケアマネジャーや介護スタッフと情報を共有する

順に見ていきましょう。

対応できる治療内容

まず、現在困っている症状を具体的に伝えてください。

「入れ歯が合わない」「歯が痛む」「口臭が気になる」など、目的が明確であるほど、対応可否の見通しが立ちやすくなります。

あわせて、持病や服薬状況も共有しましょう。

抗凝固薬や抗血小板薬などを服用している場合は、処置内容に影響する可能性があるため、事前に伝えておく必要があります。

費用の目安

費用に関しては、医療保険と介護保険のどちらが適用されるのか、自己負担割合がどの程度になるのかを確認します。

交通費の取扱いや金額についても、事前に確認しておきましょう。

不明点を残したまま開始せず、疑問はその都度解消してください。

訪問エリアと診療日時

自宅や施設が訪問可能な地域に含まれているかは、最初に確認すべき事項です。

加えて、訪問可能な曜日や時間帯、定期的な診療に対応できるかどうかも押さえておきます。

長期的な口腔管理を目的とする場合、継続して訪問できる体制があるかどうかが重要な判断材料となります。

ケアマネジャーや介護スタッフと情報を共有する

在宅療養中の方は、ケアマネジャーや訪問看護師、介護スタッフと情報を共有しておくことが重要です。

食事の状況や生活リズム、全身状態といった情報は、口腔ケアの方針を立てるうえで欠かせません。

家族だけで判断せず、必要に応じて医療・介護の関係者に相談できる体制を整えましょう。

関係者間で情報が共有されていれば、訪問時の対応もより的確なものになります。

デメリットだけではない!訪問歯科を利用する5つのメリット

メリット

訪問歯科には制約がある一方で、外来診療では得られない、以下のような利点も存在します。

  • 通院による身体的な負担を減らせる
  • 家族や介護者の負担軽減につながる
  • 慣れた環境で診療を受けられる
  • 定期的な口腔ケアを受けられる
  • 生活環境に合わせたアドバイスを受けやすい

特に、通院そのものが身体的・介護上の負担となっている方にとって、利用するメリットがあります。

通院による身体的な負担を減らせる

車いすを使用している方や寝たきりの方にとって、歯科医院までの移動は大きな負担です。

訪問歯科であれば、移動そのものが不要になります。

移動中の転倒や体調悪化といったリスクを回避できる点も、見過ごせないメリットです。

家族や介護者の負担軽減につながる

通院には、車への乗降介助や移動、待ち時間の付き添いといった作業が伴います。

これらは介助する側にとって、時間的にも身体的にも小さくない負担です。

訪問歯科の利用により、こうした付き添いにかかる負担を大幅に軽減できます。

慣れた環境で診療を受けられる

自宅や入所中の施設という慣れた場所で診療を受けられるため、環境の変化による心身のストレスを抑えやすくなります。

認知症のある方など、環境の変化に影響を受けやすい方では、負担の軽減につながる場合があります。

定期的な口腔ケアを受けられる

通院が難しいことを理由に、歯科診療から遠ざかってしまう例は少なくありません。

訪問歯科を利用すれば、治療を中断せずに継続できます。

虫歯や歯周病の予防に加え、口腔内を清潔に保つことは、食事や全身の健康管理を考えるうえでも重要です。

定期的な口腔衛生管理を受けられる意義は大きいといえます。

生活環境に合わせたアドバイスを受けやすい

訪問診療では、歯科医療従事者が実際の生活環境を直接確認できます。

使用している歯ブラシや洗面環境、食事の内容や姿勢まで踏まえたうえで、実行しやすいケア方法を提案できる点は訪問ならではの強みです。

本人の状態だけでなく、介護する側の状況を考慮したケアを検討できることも、生活に根ざした支援につながります。

訪問歯科が向いている人・外来診療を検討したほうがよい人

訪問歯科と外来診療は、優劣ではなく適性で選ぶものです。

身体の状態と必要な治療内容の両面から、どちらが適しているかを判断します。

訪問歯科が向いている人外来診療を検討したほうがよい人
寝たきりで通院が難しい自力で問題なく通院できる
車いすなどで移動の負担が大きい訪問では難しい検査が必要
病気や障がいにより通院が困難高度な設備を必要とする治療を希望している
施設・病院などで療養している緊急性の高い治療が必要
定期的な口腔ケアが必要外来のほうが適切と歯科医師が判断した

なお、「外来のほうが適している」という判断は、訪問歯科を利用できないことを意味するものではありません。

患者さまの状態や歯科医院の体制によっては、精密検査を外来で行い、その後の管理を訪問歯科で継続する場合もあります。

どちらの形態が適しているかは、全身状態や治療内容によって変わります。

まずは歯科医師に相談してみましょう。

訪問歯科のデメリットについてよくある質問

よくある質問

訪問歯科に関して寄せられることの多い質問を、簡潔にまとめました。

訪問歯科は普通の歯医者より料金が高いですか?

外来より高くなる場合があります。

訪問歯科にも医療保険が適用されますが、通常の処置費用に加えて訪問診療に関する費用が算定されるためです。

実際の金額は自己負担割合や診療内容によって異なるため、事前に歯科医院へお問い合わせください。

訪問歯科では虫歯の治療もできますか?

対応可能なケースが多くあります。

ポータブル機器を用いることで、削って詰めるといった処置にも対応できます。

ただし、症状の程度や訪問先の環境、全身状態によっては、外来での治療をご案内する場合もあります。

訪問歯科で入れ歯を作ることはできますか?

訪問歯科でも、入れ歯の作製・調整・修理に対応できる場合があります。

日本歯科医師会も、訪問歯科で受けられる診療として入れ歯の作製や修理を案内しています。

合わない入れ歯を使い続けると食事に支障をきたすため、早めにご相談ください。

訪問歯科で抜歯はできますか?

訪問先で対応できる場合もあります。

一方、埋伏歯のように難易度の高い抜歯や、全身状態にリスクがあると判断されるケースでは、外来や病院との連携が必要です。

まずは口腔内の状態と全身状態を確認したうえで判断します。

訪問歯科は家族の立ち会いが必要ですか?

毎回必ず必要というわけではありません。

本人の状態や歯科医院の方針、施設との取り決めによって異なります。

ただし初診時は、治療方針の説明や情報共有のため、家族などの立ち会いを求められる場合があります。

関連記事:訪問歯科は本当に「きつい」?利用者家族が感じる負担と軽減策を解説

堀田院長の総評|訪問歯科のデメリットを理解して自分に合った診療方法を選ぼう

訪問歯科には、設備や治療内容、訪問日時、利用条件といった制約が存在します。

一方で、通院が困難な方でも歯科治療や口腔ケアを継続しやすいことは、訪問歯科ならではのメリットです。

大切なのは、デメリットだけを理由に選択肢から外すのではなく、本人の身体状態と必要な治療内容を踏まえて判断することです。

そのうえで、対応可能な治療や訪問エリアなどを事前に歯科医院へ確認しておけば、認識のずれを防げます。

通院が難しく歯科治療を受けられていない場合は、まずは当院へご相談ください。